能登塩の特徴は、なんと言ってもその製造方法にあります。
能登半島の最北部にある奥能登エリア(石川県珠洲市、輪島市、鳳珠郡)。
この地域は、戦後の法整備により、一度は衰退してしまいましたが、平成に入ってから、塩産業が再開したエリアです。
能登には江戸時代から現在まで途絶えることなく続いている「揚げ浜式製塩」という方法があり、それから作り出された塩は、他にはないまろやかな味に仕上がっています。
今回の記事では、能登塩の特徴や伝統的な作り方である「揚げ浜式製塩」を詳しく紹介していきたいと思います。
能登塩の特徴とは
能登塩の特徴は、なんと言っても塩味がなめらかなことです。
塩はもちろんしょっぱくないといけないのですが、能登塩はまろやかで、やさしい塩味が特徴の一つです。
このように、まろやかさであったり、やさしい塩味というのは、なかなか作るのは難しいですが、能登塩は海水の持つ自然なミネラル分がきちんと残っていて、砂に撒いて作られているので、砂のミネラル分もプラスされてより深い味わいの塩ができるのです。
能登塩の伝統的な作り方
能登塩の伝統的な作り方である「揚げ浜式製塩」を紹介します。
「揚げ浜式製塩法」とは、平安時代の終わりから江戸時代にかけて行われたとされている製塩方法で、その技術が現在でも能登塩の製塩方法として受け継がれているのです。
手法としては、汲み揚げた海水を砂浜の「塩田」(表面に粘土を敷き詰めその上に砂をまいた)と呼ばれる所にまき、太陽と風の力で蒸発させると、砂に塩が付着します。
太陽の力が必要ということは、勘のいい人ならお分かりのとおり、揚げ浜式による塩作りは、晴れた日にしかすることができないんです。
少しでも天気が崩れてしまうと、その日は塩を作ることができなくなってしまうこともあります。
ちょっと話がそれてしまいましたが、塩が付着した砂にさらに海水を注いで塩分濃度の高い水を作り、その水を釜に入れて蒸発をさせることで、やっと塩ができあがります。
この「能登の揚浜式製塩技術」は、平成20年3月13日に国の重要無形民俗文化財に指定されました。
塩作りの原料となる海水は、塩田の目の前に広がる日本海から「浜士」さんの手によってくみ上げられます。
浜士とは、製塩に従事する技術者のことで、塩田に海水をまく作業は、ただまけばいいというものではなく、浜士さんの手によりまんべんなくきれいにまくことが能登塩のまろやかな味につながるのです。
ちなみに、まんべんなくきれいにまくことができるようになるまで、10年以上かかる技術だと言われています。
こうして、手間暇かけて作られた能登塩は、一般的な塩よりもミネラル分が多く「海の旨さと甘さ」を感じることができるおいしい塩となるのです。
珠洲製塩
珠洲の塩は、日本海有数の漁場の海水で作られています。
日本海は、寒流と暖流が交じり合うのが特徴です。
揚げ浜式製塩の歴史
あげ浜式製塩とは、平安時代から江戸時代にかけて行われた製塩方法です。
当時は、塩田は海岸より高いところにしか作れなかったのが特徴です。
塩田の表面に粘土を敷き詰めてその上に砂を撒くのが特徴です。